2018年12月に本稼働が迫った全銀EDIシステム(ZEDI)のメリットを徹底解説 ――経理関連業務の効率化に向けた金融EDIの活用に関する説明会――

2018.10.24

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 18年12月の稼動迫った全銀EDIシステム(ZEDI)。総合振込において、支払通知番号、請求書番号など振込に関するさまざまな情報を受取企業に送信することを可能にするシステムとして注目されている。ZEDIによって売掛金の消込作業が効率化されるなどのメリットが得られるが、新しいサービスだけに浸透が進んでいない。そこで18年9月14日、全国銀行協会の主催により企業の経理やシステムの担当者を対象とした「経理関連業務の効率化に向けた金融EDIの活用に関する説明会」が東京のベルサール神田で開催された。説明会の模様を報告する。

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金融EDIのメリットは売掛金の消込が効率化されること

 説明会は、全国銀行協会によるZEDIの概要説明から始まり、ソフトウェアベンダーによるZEDIへの対応状況、金融機関による提供サービスの内容等について語られた。

 

 最初は一般社団法人 全国銀行協会 事務・決済システム部 次長の高倉裕一氏が「経理関連業務の効率化に向けた金融EDIの活用」について説明した。金融EDIを活用することの大きなメリットは売掛金の消込が効率化されることにある。多くの企業は複数の商取引の代金をがまとめて振り込んでいるため、受取企業側で認識している売掛金の金額と実際の入金金額が合わないケースがある。その場合、支払企業に照会するなどの負担が発生するが、金融EDIを使えば売掛金の消込が効率化され、支払企業への照会も不要になる。「その結果、経理業務に当てていた人的リソースを営業活動などの他業務にシフトすることが可能になる。結果として経理関連業務の効率化をはじめ、企業の生産性向上や働き手不足の解消が期待される」と高倉氏は語った。

 

 

 次に、一般社団法人 全国銀行資金決済ネットワーク 業務部 調査役の長竹孝行氏が「全銀EDIシステム(ZEDI)」について説明した。ZEDIとは、企業の決済事務の効率化、生産性の向上に向けて、企業からの銀行送金電文に取引明細情報、請求書情報、担当者連絡先情報などを乗せて電子的に交換可能とするために構築しているシステムだ。これまでは、総合振込の際に送信できるEDI情報は固定長形式で20桁までだったが、ZEDIではデータ形式がXML形式に変わり、受取企業へ伝達できる情報量が格段に増える。対象となるサービスとチャネルは支払企業が総合振込、受取企業が振込入金通知と入出金取引明細で、いずれも一括ファイル伝送とインターネットバンキングが対象だ。主な接続方式は、ホスト接続、各種会計ソフト連携接続、インターネットバンキング接続の3パターン。ZEDIと接続する加盟銀行数は稼動時点で279となる見込みだ。ZEDIの利用にあたり、XMLファイルを作成するツールの準備が難しい企業には、Webブラウザー画面上から入力することで、総合振込で使うXMLファイルが簡単に作成できる機能「S-ZEDI」を無料で提供する。現在、ZEDI対応のソフト開発もソフトウェアベンダーによって進められており、開発者の交流会も開催している。中小企業庁のEDI実証事業をきっかけに発足したつなぐITコンソーシアムでも、ZEDIと中小企業共通EDIの普及を目的とした委員会を立ち上げ、活動をしている。長竹氏は「産業界のEDIと金融EDIが連携することでますますIT化が促進され無駄がなくなっていく。例えば、請求書番号が振込と同時に流れていくイメージになり、受取企業は完全一致での消込が自動でできるようになる。働き方改革、生産性改革を実現するためにもZEDIの利用を検討して欲しい」と語った。

 

 続いて、株式会社NTTデータ 第四金融事業本部 e-ビジネス事業部 e-ビジネス商品企画営業担当 課長の篠原伸彦氏が「全銀EDIシステム(ZEDI)の利用」について語った。ZEDIが想定される使い方は、受発注業務の効率化・電子化と、入金消込作業の効率化の2つが挙げられる。ZEDIを利用して総合振込を依頼したり、入金確認をしたりするためにはブラウザー方式のインターネットバンキングまたは専用ソフトをインストールするパソコンバンキングサービスが必要となる。依頼データは主に3つあり、1つが販売管理・会計ソフトで作成する方法、2つめはEDIプロバイダーが提供している受発注管理サービスから作成する方法、3つめはXMLファイルを作成する機能「S-ZEDI」を用いる方法だ。「いずれかの方法を検討してもらうことになるが、特にブラウザー経由で利用できるS-ZEDIは便利」と篠原氏は語った。NTT東西の発表で24年1月にはINSネット「ディジタル通信モード」が終了する。「それに合わせてZEDIの活用も検討して欲しい」と加えた。

 

 

対応システムはパソコンバンキング用とインターネットバンキング用の2タイプ

 次は、ソフトウェアベンダー各社がZEDIへの対応について説明した。最初に株式会社NTTデータ四国 第二ビジネス事業部 営業企画統括部 決済ビジネス営業部 商品営業担当 主任の井元恒氏が同社の「統合パソコンバンキングソフトEBNext2DX」の対応について解説した。ZEDIを利用する場合の接続例は、サービス事業者の接続手順、JX手順、HTTPS手順、SOAP(HTTPS)の4つあるが、EBNext2DXが想定している接続はJX手順接続と、全銀VALUX通信接続の2つで、固定長とXMLの両方に対応が可能となっている。入力の定義機能としては、固定長形式(流通BMS)、XML形式、メッセージ形式、フリー形式の4つをカバーし、ZEDIが始まる18年12月には全銀協標準フォーマットの「S-ZEDI」もカバーする予定だ。一通りのデモンストレーションを実施した後、井元氏は「支払企業、請求企業それぞれにメリットがあるZEDIは、AIやRPAと連携することで業務改善が推進される。新しいインフラの活用を、EBNext2DXを通して支援していく」と語った。

 

 続いて株式会社NTTデータフロンティア 第二システム開発本部 第一開発部 第一開発担当の小川真史氏が同社製品の「金融EDIサポート」を紹介した。金融EDIサポートとは、ZEDIを利用する支払企業や受取企業のパソコンにインストールして使うソフトウェアのことで、取引金融機関経由でZEDIにアクセスする。金融EDIシステムを利用することで、振込データをXMLファイルにするのが難しい場合もExcelライクな画面で振込データの編集ができ、CSVや固定長ファイルを読み込むことでXMLファイルへの変換ができる。提供形態は、希望のあった金融機関から企業への配布を予定している。金融EDIサポートで提供される機能は、総合振込データ作成、入出金取引明細確認、振込入金通知確認、口座管理の4つとなる。

 

 

 3社目として株式会社データ・アプリケーション マーケティング本部 シニアコンサルタントの中井基雄氏が同社のソフトウェアを紹介した。同社の製品「ACMSシリーズ」は、ZEDI接続用の通信パッケージに位置付けられるもので、XML電文の作成・変換機能、一括ファイル伝送XMLファイル伝送仕様、クライアント証明書管理機能が提供し、支払企業と受取企業の双方の業務へ対応できることが大きな特徴だ。主な利用ケースは4つ。

 

 1つめはERP、会計ソフト、FBソフトなどのアプリケーションに組み込んで利用するケース。2つめはERPなど基幹システムと連携し、金融EDIと商流EDIの統合EDIシステムとして利用するケース。3つめはEDIサービス事業として、金融EDIと商流EDIを含めた統合EDIシステムのエンジンとして利用するケース。4つめはZEDI接続用通信パッケージとして利用するケース。中井氏は「ACMSはさまざまな適用方法があるが、サーバー製品もクライアント製品も共にZEDIとの接続試験を実施した上で提供しているので、安心して使って欲しい」と語った。

 

 

国の支援事業によって金融EDIの連携基盤の構築が加速

 7人目として、中小企業庁 経営支援部 技術・経営革新課(イノベーション課)の八木美咲氏が、「中小企業・小規模事業者決済情報管理支援事業」の実施について解説した。日本全体が生産年齢人口の減少にある中、中小企業においても人手不足が深刻化し、経営上の不安要素となっている。このような中、半数以上の中小企業が銀行窓口やATMに出向いて代金支払等の振込を行い、約5時間かけて入金内容と請求書を紙で付き合わせて確認している。課題解決に向けて大手自動車部品メーカーと取引のある中小企業は、注文から請求・支払、消込の業務を自動化するシステムを開発。その結果、年間で約200時間~2000時間の業務時間を削減した。IT化により中小企業は大きなメリットが得られることから、中小企業庁は商流EDIとして中小企業共通EDIを16年度予算で整備した。17年度の予算では「中小企業・小規模事業者決済情報管理支援事業」に着手し、金融EDIの連携基盤の構築を進めている。八木氏は「事業ではアプリケーション、共通インフラ、普及活動の3つをテーマに掲げ、有識者委員会で検討。現在、19年2月の終了に向けて4つのモデルプロジェクトで実証を進めている」と説明した。

 

 続けて、株式会社スマイルワークス 代表取締役社長の坂本恒之氏が「クラウドERP+EDI+ZEDI」商流データとオンラインバンキングの連携について解説した。同社のクラウドERPサービス「SmileWorks」は、ZEDIとの連携を進めており、その前段階として2017年に中小企業庁の次世代データ連携基盤構築事業「経営力向上・IT基盤整備支援事業」でXML電文を使って見積から受発注、検収、納品までを検証。ネットバンキングと連携した送金明細まで確認した。2018年はZEDIを使って見積依頼から受発注、検収、納品、支払、明細消込、会計仕訳、資金繰り管理まで一連の処理を実行。会計仕訳では財務会計への自動会計仕訳と連動し、資金繰り管理では入出金予定一覧から資金繰り管理に自動で反映されることを確認したという。今後は、クラウドERP+EDIの無料版「FreeWorks」を提供する予定で、利用企業の得意先や仕入先に発行することで、すべてがEDIで連携することが可能になる。坂本氏は「これによってこれまで企業内でも部門間でデータの連携を紙と手作業で行っていたが、今後は企業間の商取引データも含めすべてのデータが連動/自動化される可能性がある」と語った。

 

 最後は金融機関で提供するサービスについて、株式会社みずほ銀行 e-ビジネス営業部 法人プロダクト開発チーム 調査役の下村昌弘氏が解説した。ZEDIのメリットは、パソコンサービスやインターネットバンキングにより、振込に関する請求番号、支払金額、担当者・連絡先などの情報が確認できることにある。みずほ銀行が提供を予定するパソコンサービスの「ZEDI伝送サービス」(仮称)では、データ送受信による総合振込や明細照会の利用ができる。データ形式はXMLで、接続方式はJX手順とVALUXをカバーする。インターネットバンキングの「みずほビジネスWEB」では、データアップロード、画面入力による総合振込依頼、入出金明細データのダウンロード、画面照会が利用できる予定。下村氏は「より便利に利用するためには、支払企業と受取企業の双方でEDI情報欄に設定する情報、手順、形式を事前に決めておくことが大切」と語った。

 

 

 

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