加工食品と日用品の返品削減を集中的に議論 ~2014年度 製・配・販連携協議会 総会/フォーラム~

2015.7.16

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 2015年7月3日、製・配・販連携協議会の2014年度の活動と成果を報告する総会とフォーラムが、明治記念館(東京都港区)で開催された。14年度は新たにOTC医薬品メーカー・卸売業を会員に迎えたことから、前年度まで3つに分かれていたワーキンググループ(WG)を、加工食品と日用品のカテゴリーの2つに再編。今総会では、それぞれのWGが、返品削減や配送最適化に向けた取り組みの活動成果を報告し、最後に会員企業の経営トップ17名が総評を行った。

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14年度のポイントは「企業トップによる戦略会議」と「WGの再編」

 主賓挨拶では、前々年と前年に続き、経済産業省 商務流通保安審議官の寺澤達也氏が登壇し、活動の充実とメンバーシップの拡大を評価した。そして、返品削減の実施、賞味期限、納品期限の見直しなどの取り組みが、日本の成長戦略の加速につながることを強調。さらに15年度より実施する、外国人旅行者の買い物需要の拡大に向けた、商品情報多言語対応WGへの期待を寄せた。

 

 続いて、主催者挨拶に立った流通システム開発センターの林洋和会長は、これまでの活動を振り返り「返品削減と配送最適化が企業の利害関係もあり、思うように進んでいない」と述べ、消費者の利益に結びつけていくことが重要と語った。その反省を踏まえて14年度は新たにOTC医薬品メーカー・卸売業を会員に迎えたこと、さらに会員代表企業のトップで構成される「戦略会議」を設置したこと、加工食品と日用品の2つのWGに再編したことなどを説明。最後に「活動の動きを中小企業にまで拡大し、実行力のあるものにしていかなければならない」と訴えた。

 

 

加工食品WG報告

 加工食品WGでは、味の素 食品事業本部 営業企画部長の宮本太氏が、返品削減実施計画の進捗状況などを報告した。14年度の返品実態を見ると、メーカー←卸売業、卸売業→メーカー、小売業→卸売業への返品は、前年実績より削減できたが、卸売業←小売業は増加している。宮本氏はこれらの結果を分析したうえで「協議会加盟企業の返品削減は前年比で改善傾向にあるが、非加盟企業からの返品率は増加している」と述べた。

 

 また、返品の発生理由の多くは定番カットにあると話し、14年度の返品総額(推計)は821億円で15年以降定番カットなどの返品削減を進め、返品率を1/3まで削減できれば270億円相当の改善効果が得られるという認識を示した。

 

 賞味期限、納品期限の見直しについては、加盟各社でパイロットプロジェクトを実施。酒類においてはビール類等で年月表示が定着、飲料でも年月表示が拡大している。加工食品については検討が始まり、15年度に開始される予定だ。終売プロセスについては検討が始まったばかりで、現状分析と課題の共有までが終わった段階。配送の最適化については事例の共有化が進んでいると述べた。

 

 最後に宮本氏は「WGの活動は少しずつ前進しているので、課題解決に向けて製・配・販3層の連携を続けていく。そして、加盟企業以外にもこの活動を拡大していくことが重要」と語った。

 

 

日用品WG報告

 日用品WGでは、花王カスタマーマーケティングの執行役員で、流通開発部 統括部長の堀康人氏が活動を報告した。14年度の返品実態は加工食品と同様、メーカー←卸売業、卸売業→メーカー、小売業→卸売業は計画以上に削減が進んだが、卸売業←小売業については前年度より返品率が高まり、当初計画した数値には届かなかった。そのうえで、返品実態を詳しく示し、小売業→卸売業の返品率は業態別ではドラッグストアが最も高く、商品部門別でも一般化粧品の返品率が高いことを指摘した。

 

 日用品の返品の発生理由は棚替え・季節品が多く、具体的には卸売業→メーカーで84%、小売業→卸売業で68%に達している。堀氏は「14年度の返品総額(推計)は日用品が831億円、OTC医薬品が229億円、合計1,060億円で、15年以降棚替え・季節品の返品削減を進め、返品率を1/3まで削減できれば350億円相当の改善効果が得られる」と語った。

 

 こうした結果を受けて、日用品WGでは返品削減を進めるための手引き書を作成し、さらに簡易版のパンフレットも用意している。堀氏は「手引き書は各社の返品事例をもとに作成したもので、チェックリストを添付して各社で確認できるようになっている。協議会のホームページからダウンロードできるので、是非活用して結果を出して欲しい」と訴えた。

 

 

15年度は「商品情報多言語対応WG」を新設

 続けて、製・配・販連携協議会の今後の運営体制について、流通経済研究所専務理事の加藤弘貴氏が説明。15年度の方針として、WGの活動の取り組みを協議会参加企業だけでなく、業界団体全体で共有し、普及啓発を進めていくと強調した。

 

 また、訪日外国人旅行者の増加を受けて、「商品情報多言語対応WG」を新設することを説明し、年間1,340万人(2014年)の外国人旅行者の買い物需要を一層拡大するために、商品情報を多言語化し、多言語対応に向けたインフラ整備を続けていく」と語った。

 

 

会員企業代表者による総評/コメント

 最後に、会員企業の代表者17名が、今回のWGの発表を受けて総評を行った。いずれの企業も、返品率の削減には高い関心を示し、各企業での取り組みを加速させていくべきという認識を示している。特に、今回から初参加し、返品率の高さを指摘されたドラッグストアや、OTC医薬品の卸売業の関係者からは、返品ルールの重要さを認識する声が多く聞かれた。また、日用品WGが進めている返品削減を進めるための手引き書やパンフレットに高い関心と期待を寄せる企業のトップが多かった。

 

 一方で、多く聞かれた意見のひとつが、製・配・販3層の今までの連携の強化と、参加企業以外への拡大だ。個々の企業がそれぞれ勝手に取り組んでいるだけでは、最大の効果が得られないことから、業界全体の協調が必要であることが確認された。

 

 そして、少子高齢化や人口の減少で、国内消費の縮小が懸念される中、15年度から協議会が実施する外国人旅行者向けの「商品情報多言語対応WG」の活動に期待を寄せる声も多く聞かれた。

 

 

 

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