「流通システム標準普及推進協議会」総会が開催 記念講演~業務改革と新しいIT活用の流れ~ Page2

2010.5.01

フューチャーアーキテクト株式会社
シニアフェロー

碓井誠 氏

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 流通BMSの維持管理と普及・推進を目的に昨年4月28日に設立された流通システム標準普及推進協議会の平成22年度総会が、去る4月26日にホテルフロラシオン青山(東京都港区)で開催された。

 総会では、第1部として事業報告、事業計画等の審議・承認と平成21年度経済産業省事業の報告が行われた。続く第2部では、協議会の支援会員でもあるフューチャーアーキテクトのシニアフェロー碓井誠氏が「業務改革と新しいIT活用の流れ」と題した記念講演を行った。碓井氏は「小売業の置かれた大変な状況を逆にチャンスに変えるには、流通BMSというインフラの活用も含めて考えるべき」と強調する。その講演内容について紹介する。

人間らしさを残して、裏は徹底してシステム化

 講演では、いくつもの実例が紹介されたが、その中からセブン-イレブンの改革を紹介しよう。そのポイントの第1点は、サプライチェーンの効率化、ビジネスモデル開発といったシステム戦略の核は、すべてセブン-イレブン本部が開発し、体制を整備して、戦略実現に向けてパートナー企業や各店舗をリードし、バリューチェーンを構築していったことである。第2点は、パートナーや店舗との情報連携や業務支援を行うために、徹底したIT化を推し進める一方で、セブン-イレブンの業務はあくまで対人型のサービスであるという原点を大切に、人間らしさを残して、裏は徹底してシステム化したことだ。顧客満足もサービスの質も従業員に大きく依存する。そこで効率だけではなく、ユーザーである従業員の負荷をいかに軽減するかを重視してシステムを開発したのである。


 一例として、商品のバーコードを活用したスキャン検品システムを挙げた。従来は店舗スタッフが紙伝票で行っていた仕入れ検品を、スキャンターミナルで誰もが容易かつ確実に行えるようにして伝票レス化した。これによりスタッフの作業負荷を軽減し、1店舗の1か月分の利益に当たる年間110万円のコスト削減を実現した。また、関連して本部会計業務の効率化も推進し、店舗と物流を含めた合計では年間で300億円近くものコスト削減を達成したという。


 「この取り組みはセブン-イレブンの例ですが、流通BMSという標準化によって、他社でもこうした伝票処理のやり方もすぐに活用可能になるわけです」と碓井氏は強調した。


 このほかにも、システム化でTO DO管理やルールを基にした死に筋商品の排除、自動発注も容易に可能となるという。そして売れ筋商品の拡大にもつなげていけるとした。 碓井氏は「大切なのは、ITを活用して業務の流れをきちっとシステム化して連動させていくことで、それにより顧客が求めていることをデータ自身が語ってくれるようになります。そうすれば、生活者起点のサービス展開をより効率的に実現することが可能になります」と語る。


会場の様子 さらに、これまでは商品開発、CRM、店頭でのさまざまなサービスというデマンド(顧客)サイドの話が中心に語られることが多かったが、これからはサプライサイド(供給側)にもっと着目する必要がある。つまり原材料から店頭販売、その後のサービスという上流から下流に届ける"動脈"に加えて、下流から回収する"静脈"システム(リサイクル)まで含めて統合していく必要があると語った。


 碓井氏は「こうした段階になると、個々のシステムでは対応できないし、各企業がバラバラでやるべきことではないため、流通BMSによる標準化が不可欠です」として講演を締めくくった。