流通団体によるクラウドEDIサービスの設立で流通BMS普及を促進 ~キーマンが座談会で語る~

2011.9.20

日本スーパーマーケット協会
専務理事

大塚 明氏

日本スーパーマーケット協会
情報システム委員会
委員長

神藤 信弘氏 (株式会社ヤオコー 営業企画部 システム管理担当部長)

経済産業省 商務流通グループ
流通政策課長
(併)流通・物流政策室長

佐合 達矢氏

記事概要イメージ画像

 普及段階に入ったといわれる流通BMSだが、JCA手順からのスイッチングコストの負担やITリテラシーの不足など障壁もあり、普及が思うように進んでいないという現実もある。こうした状況を変える取り組みの一つとして、このほど日本スーパーマーケット協会(以下、JSA)では、他の流通団体とも連携して流通BMSのクラウドEDIサービスを立ち上げ、流通業界に向けて広く利用を呼びかけていく方針だ。

 そこで、JSAから、専務理事の大塚明氏と情報システム委員会の委員長を務める神藤信弘氏、そして流通BMSの普及を支援する経産省から、商務流通グループ 流通政策課長の佐合 達矢氏の3名に、クラウドEDIサービス設立の狙いと意義、流通BMS普及に向けた期待などについて座談会形式で語ってもらった。

キーワードは「競争は店頭、インフラは共有」

日本スーパーマーケット協会 専務理事 大塚 明氏-- 今回のクラウドEDIサービス設立の狙いについて教えていただけますか。

 

大塚氏
 前提の1つとして、日本の小売業、特に食品スーパーマーケットが生き残っていくには何をなさねばならないか。それがセンター設立のベースにあります。かつてのように人口が増加し、購買意欲が高かった時代には、企業の生き残りは難しい作業ではありませんでした。しかし、人口減や高齢化が進み世帯構成の変化、そして経営環境が激変する中、日本は「モノ不足」から「モノ余り」時代を経て、今や「モノ離れ」への時代へと突入しています。一方で、日本のチェーンストアが誕生した時代が高度経済成長期であったため、小売チェーンは急成長しました。同業社との競争はもとより、生産者・メーカーとも対峙する関係にすらあったのです。そのため対外的には流通全体を巻き込む情報共有の必要性を説いても実態は名ばかりです。EOS発注にしても、フォーマットの標準がなかったものですから、1000通り以上ものフォー マットが乱立している状況で、大きなロスが生じていました。

 

 小売業はドメスティックなもので、ローカルな影響が支配します。しかし、そのバランスは変化しています。グローバル化の観点からも、このような大きなロスを抱えたままでは、日本の小売業の生産性は上がらず厳しいものになります。また、小売業は戦いの場を店頭に置くべきで、それ以外のインフラに近いものは共有し、コストは分担することが良いです。これがJSAのスタンスです。インフラがインフラである条件として最も重要なのが、標準化されていることになります。ところがコンピューターのレガシー化の問題などで解決できないでいる企業も多いです。そこで、J手順が使用できなくなることを啓蒙し、流通BMSによる業界標準に移行することを推奨する中で、昨年から経済産業省の肝煎りで「製・配・販」の3層連携による流通効率化への取り組みが開始されたのです。業界の機運が高まる中にあって、JSAとしてもコストを気にすることなく、気軽に参加できる仕組みを創るチャンスだと考えたのです。

 

共通基盤でコスト削減して経営をイノベーション

経済産業省 商務流通グループ 流通政策課長(併)流通・物流政策室長 佐合 達矢氏-- 流通BMSの普及を支援する経産省のお立場から、どうお考えでしょうか。

 

佐合氏
 企業経営の中で競争領域と非競争領域を明確に分けることは難しいことですが、製・配・販で生産、在庫情報等が共有出来れば流通の効率化が実現します。流通BMSもその一つでこれにより取引の共通基盤ができれば、お互いのコストを削減できて、本当の意味での注力すべき競争領域に経営資源を投入できるようになる、これは間違いないことだと思います。


 またその結果、小売業本来の経営のイノベーションにつながっていくことになれば、非常に好ましいことと言えます。もちろん、それは単に商品価格を安くするという経営を進める方もおられると思いますが、それだけではなく、消費者のニーズに応えるきめ細かなサービスを実現したり、得られた利潤を使って製造小売り垂直型の形態を目指すなど、経営の視点から様々な可能性が考えられる。
 そのための情報基盤ともいうべきものをしっかりと構築して、広く利用できるようにしていくため、JSAがリーダーシップをとって取り組みを進めることは高く評価したいと思います。

 

-- 海外の流通業のサプライチェーンを比較すると、日本は合理化の余地が大きいとお考えですか。


佐合氏
 海外との比較で日本の流通構造が非効率だとは一概には言えませんが、ただ、投資家目線で見た経営指標を考えると、投資収益率は小売りも、卸も、メーカーも総じて低いのは事実です。もちろん、この一点をもって日本企業の経営が海外企業に劣っているとは思いませんが、海外企業に学ぶべきことも多く、また、改善の余地がある以上、取り組みは進めなければならないでしょう。こうした点を解消する意味からも、フォーマットの共通化はその第一歩となると思います。

 

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