GS1事業者コード登録更新制度が約40年ぶりに全面改訂 ~システム改変が発生する場合もあるので準備を~

2019.11.19

流通システム開発センター
コード管理部 担当
理事

西山 智章 氏

流通システム開発センター
コード管理部 次長

上田 俊秀 氏

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 商品流通に欠かせないバーコードの中の、事業者を識別するGS1事業者コードの登録更新制度が、2021年5月に約40年ぶりに全面的に改定される。場合によっては、GS1事業者コードを元に設定するJANコード(GTIN)やロケーションを表す企業・事業所識別コード(GLN)などの利用事業者だけでなく、システムベンダーなどの関連事業者も影響を受ける可能性がある。制度改定の背景や、改定のポイントを流通システム開発センター 理事の西山智章氏と、同 コード管理部 次長の上田俊秀氏に聞いた。

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インターネット取引の急増による小規模事業者の参入がきっかけ

 商品のバーコードとしてよく見かけるJANコード。これは日本だけの呼び名で、国際的にはGTIN(ジーティン)(Global Trade Item Number)と呼ばれ、商品識別コードとして流通情報システムの重要な基盤となっている。個々の商品のGTINは一般的に13ケタのコードで構成される。左から最初の9ケタ(または7ケタ)が「GS1事業者コード」で、次の3ケタ(または5ケタ)が「商品アイテムコード」、最後の1ケタが機械が読み取ったデータの正しさを判別する「チェックデジット」と呼ぶものだ。

 

 3ケタの商品アイテムコードは事業者が000から999まで1000個の番号、5ケタの場合は00000から99999まで10万個の番号を自由に割り当てることができるが、9ケタ(または7ケタ)のGS1事業者コードは取得の手続きが必要になる。GS1事業者コードは、GTINばかりでなく、国際的な流通標準化機関であるGS1が定める国際標準の各種識別コード(GLN:企業・事業所識別コード、SSCC:出荷梱包シリアル番号など)を設定するためにも必要となるものである。GS1事業者コードは、日本では最初の2ケタの49または45を含めた9ケタ(または7ケタ)のコードを、個々の事業者に対してコードが事業者間で重複しないように、流通システム開発センターが貸与ならびに管理を行っている。

 

 GS1事業者コードの登録更新制度は1978年に開始したが、約40年ぶりに改訂された背景には、インターネット取引の急増がある。Amazonや楽天市場といったECサイトが増えた結果、これまでのように大手メーカーや大手流通事業者だけでなく、小規模のメーカーや、個人事業主、個人の輸入代行業者などが商品をネット上で販売できるようになり、扱われる商品アイテム数が爆発的に増えた。ECサイトでの販売にはGTINが必須の場合も多く、GTINの信頼性も求められる。

 

 「デジタル化の進展で商品が国や地域を越えて手軽に売買されるようになった結果、従来以上にGTINを正しく識別し、正しい情報を事業者に使っていただく必要が出てきました。そこで、GTINを付けている事業者は誰か、GS1事業者コードやGTINは国際標準に従って正しく付番されているかといった情報を、すべての事業者が必要な時にいつでも確認、利用できる体制を構築する目的で登録更新制度を改訂するに至りました」(西山氏)

 

 

10ケタのGS1事業者コードを新設

 改訂のポイントは以下の4つだ。

(1)GS1事業者コードの更新手続きのサイクルを「3年ごと」から「1年ごと」に変更

(2)10ケタのGS1事業者コードを新設

(3)短縮タイプ用の6ケタのGS1事業者コードの貸与を終了し、1商品アイテムごとのGTIN-8ワンオフキーの貸与に変更

(4)GLNワンオフキーの新設

 

 この中で、(1)のGS1事業者コード更新手続きサイクルの変更以外は、システムベンダーにも関係する場合があるので注意が必要である。

 

 (2)の10ケタのGS1事業者コードの新設は、従来の9ケタ(または7ケタ)のGS1事業者コードに加えて、新規に取得を希望する事業者で商品アイテム数の利用予定が100アイテム以下なら10ケタのGS1事業者コードが貸与されるというものだ。

 

 前に説明したようにGS1事業者コードが9ケタの場合は商品アイテムコードが3ケタとなり、000から999の1000個まで付番できるが、GS1事業者コードが10ケタになれば商品アイテムコードは2ケタとなり、割り当てられる番号は00から99までの100個となる。上田氏は「ネット通販などで中小メーカーや個人事業主が商品を売る場合、1000や10万といったアイテムを扱うのはレアケースで、1個や2個、多くても100個もあれば十分ということがほとんどです。そのため、10ケタのGS1事業者コードを新設することで適切なコードを貸与し、コード資源を有効に活用することが10ケタのコードを新設する狙いです」と説明する。

 

 ただしこの場合、EDIシステムをはじめ、受発注システム、POSシステム、在庫管理システム、物流システムなどで、GS1事業者コードを直接参照しているような場合には注意が必要だ。そうした場合には、10ケタのGS1事業者コードも扱えるようにシステムの改修や、パッケージシステムの改変が発生する。

 

 「GS1事業者コード自体を利用しているシステムがあれば、改修が必要になる可能性があります。GTINの桁数は変わらないので店頭のPOSレジなどに影響はありませんが、例えばメーカー別売上分析などでGS1事業者コードを利用しているケースなどでは、改修が必要になる場合があります」(西山氏)

 

 (3)の短縮タイプのGS1事業者コードを1商品アイテムごとのGTIN-8ワンオフキーの貸与に変更とは、標準タイプのバーコードが貼れないような小さなサイズの商品に使用する短縮タイプのバーコードに関する変更である。すなわち従来の6桁の短縮タイプのGS1事業者コードを貸与するのではなく、新規に取得を希望する事業者から8桁のGTINを1コードずつ割り当てるルールに変更するというものだ。

 

 (4)のGLNワンオフキーの新設も、事業者や事業所の識別コードであるGLNを、13桁で1コードずつ割り当てるというもの。流通BMSを導入するために少数のGLNが必要という事業者は、GS1事業者コード取得以外にも選択肢が増えることになる。

 

 

更新手続きのサイクルは「3年ごと」から「1年ごと」に

 (1)の更新手続きのサイクルを「3年ごと」から「1年ごと」に変更したのは、事業活動の変化に迅速に対応するためだ。インターネット時代は、事業者および商品の新陳代謝のスピードは早い。新規開業はもちろん、吸収・合併や倒産・廃業した事業者コードや、製造・販売開始や中止となった商品コードなどの情報を、早く正確に提供することが求められてきている。事業者からも「早く新しいコード情報が欲しい」「より正確なコード情報が知りたい」という声が大きくなっている。市場の声に応えるために手続きのサイクルを1年とした。

 

 「世界的に見ても1年単位がスタンダードとなっているため、日本も世界の管理水準に合わせていこうということです。GS1事業者コードに関わる情報がタイムリーに更新されることで、コードの正確性や信頼性が高まり、事業活動の円滑化が期待されます」(上田氏)

 

 更新の手続きは、新規事業者が2021年5月から、すでに登録している事業者は2021年5月以降に更新手続きを迎える時からとなる。手続きはすべてインターネットから可能だ。登録申請料・更新申請料は確定次第、流通システム開発センターのホームページで公開するほか、登録事業者には順次書面でも案内をするという。関連部門は、来たる日に備えておくとよいだろう。

 

 

「GS1事業者コード登録更新制度の改定」の詳細はこちら

→ https://www.dsri.jp/jan/jan_rules.html

 

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