【日立システムズ】第10弾:「清水屋」伝票とFAXによる発注体制からセンターサービス型EDIシステムへ

2012.12.17

株式会社清水屋
常務取締役
統括本部長

清水 崇裕 氏

清水 崇裕 氏

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 愛知県と岐阜県で6店舗の総合スーパーマーケットを展開する清水屋。メーカーや卸売業者との発注情報の交換を、伝票とFAXを中心に行ってきた同社は、業務効率の向上を目指して流通BMSの導入を決断。日立システムズのセンターサービス型EDIシステム「REDISuite(レディスイート)SaaS」を採用し、2012年2月から100社以上の取引先と流通BMSを含むEDIデータのやり取りを行っている。流通BMSによって業務効率の向上、発注精度の向上を実現した清水屋の取り組みについて、常務取締役統括本部長の清水崇裕氏に聞いた。

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発注業務の効率化と取引先の負担軽減

 1938年に創業した呉服店をルーツとする清水屋は、2013年に創業75周年を迎える総合スーパーマーケットだ。創業以来「お客様本位の店」をコンセプトに掲げ、接客重視のサービスを展開してきた。店舗は、愛知県内の5店に、岐阜県高山市の1店を加えた合計6店舗。それぞれの「顔」を持ち、高齢化社会を見据えた介護・福祉用具専門店「ゆうあい」、昨今の雑貨ブームを踏まえたナチュラル生活雑貨の専門店「リッケ」など お客さまのニーズと時代に即した専門店を立ち上げ、今年9月新たに従来の総合スーパー展開から脱した食品雑貨のテーマ型専門店「VINOS」を本社のある春日井店にオープンするなど、大手GMSにない品揃えで地域密着型のサービスを提供している。グループ全体の資本金は1億7000万円、従業員規模は1050人(2010年2月現在)。名古屋圏を中心に堅実な経営を続ける中堅の小売事業者だ。

 

 同社では今まで取引先との発注情報や支払い情報のやり取りを、伝票とFAXを中心に行ってきた。電子発注システム(EOS)を使ったデータ交換も一部にはあったものの、取引量はごくわずかに過ぎず、事務担当者は伝票とFAXによる発注作業に追われていた。常務取締役統括本部長の清水崇裕氏は従来の環境について次のように振り返る。

 「発注業務は、伝票の書き起こしや、取引内容に関する不明点を相手に電話などで確認する作業などで、事務担当者に負担がかかっていました。そのため、発注スピードが電子取引と比べて遅くなるのは否めません。また、取引先に対してもFAXの通信コストやプリントアウトの用紙代などで負担を強いることになっていました」

 

 こうした課題が顕在化する中、10年前後から小売業界全体で流通BMSの認知度が高まってきたことを受けて、同社でも導入を検討。さらに取引先のメーカーや卸売業者からの要請も呼び水となり、新たなEDIシステムの導入を決断する。

 「当社にとって、本格的なEDIシステムはハードルが高いと感じていました。しかし、EDIの基盤が何もないところから構築できる点は、逆にメリットになると考え直しました。また、流通BMSに対応することで取引先の負担も軽減でき、新規の取引先が開拓しやすくなることも導入に踏み切った大きな理由です」(清水氏)

 

 基幹システムとREDISuite SaaSがシームレスに連携

 同社はEDIシステムの導入に際し、一時は自社構築型のシステムを検討したが、初期コストと導入後の運用・保守に負担がかかることを考慮して、初期費用のかからないサービス型のシステムを再検討。複数のサービスの中から日立システムズの「REDISuite SaaS」を採用した。

 

 「EDIシステムを自社で構築すると、バージョンアップなどの作業も自社で実施しなければならず、運用の負担が生じてしまいます。サービス型ならいつでも最新のシステムが提供され、取引先に大きな負担を強いることもありません。REDISuite SaaSを選んだ理由は、小売市場における日立システムズの長年の実績です。最後までサポートが提供されるだろうという安心感が決め手になりました」(清水氏)

 

 流通BMSの導入に取り組んだ清水屋はまず、社内の経営層、バイヤー、事務担当者に対して、流通BMSの概略を解説し、導入の意義を説いた。しかし、流通BMSのことを初めて知る役員や社員も多く、説得には苦心したという。清水氏は「経営層には費用対効果などのメリットを提示しながら粘り強く説明を重ねて了解を得ました。現場の事務担当者は、作業が効率化されることに関して歓迎ムードはありましたが、バイヤーは既存の業務プロセスが変わることに抵抗感を抱いていたことも確かです。そこで会社の将来のためであることと、取引先のメリットにもなることを強調してバイヤーの理解を求めました」と振り返る。

 

 社内説明を終えた後には、取引先を一堂に集めて説明会を実施。12年2月までの移行を呼びかけた。そして、予定通りREDISuite SaaSを用いたEDIシステムの稼働を開始。12年10月現在、約100社の取引先が流通BMSを含むEDIに移行し、発注、出荷、受領、支払の4メッセージを交換している。また同システムは、同社が10年近くにわたって運用している東芝テックの基幹システム(量販店本部情報システム)と連携。基幹システムから出力した発注データを、EDIシステムを介して送信するとともに、取引先から受信した支払データを基幹システムに取り込んでいる。

 

 導入のポイントについて清水氏は基幹システムとの連携を挙げて次のように語った。

 「標準的な伝票フォーマットを自社で作成した後、マスター情報を日立システムズと日々連携する運用方式を実現させました。基幹システムとの連携に関しても、当社の業務プロセスと、基幹システムの仕組みの両方を日立システムズのエンジニアに理解いただき、スムーズに開発を進めることができました」

 

発注作業の効率化が進み発注精度が大幅に向上

 REDISuite SaaSの導入により伝票やFAXを使った発注業務は大幅に減り、業務の効率化が進んだ。一部検品レスによって検品作業も省略できるようになり、荷出し作業の時間も短縮されている。また、伝票による発注が減ったことで、今まで売り場で行っていた伝票のつづり込み作業がなくなった。清水氏は導入効果について「荷出しや伝票のつづり込みにかける時間が短縮された結果、売り場では商品の発注作業に集中できるようになり、発注精度は確実に向上しています。また、伝票やFAXによる発注が減ったことで、文字の読み取り間違いなどによる発注ミスも低減されました」と語る。

 

 稼働開始から8カ月経った現在(12年10月時点)、定量効果を測定するまでには至っていないものの、業務の効率化や伝票レスによるコスト削減に関しては確実に成果を上げつつある。今後はこのシステムを活用してさらなる業務効率の向上に取り組んでいく考えだ。

 

 全取引先のうち、EDIに対応していない取引先については、引き続き対応を呼びかけていく。しかし、取引金額が少なく、同社が他のスーパーと差別化を図るための重要な取引先であれば、強制的に移行を迫ることはないという。

 

 同社は今後、生鮮カテゴリーに対しても流通BMSの対応を進めていく構想を明らかにしている。しかし、生鮮流通には仲買を中心とした特有の仕組みがあることから、クリアすべきハードルは高い。流通BMSによる同社の業務改革は、ようやくスタートラインに立ったばかりだ。基幹システムとの連動も含め、今後に向けてシステム基盤を整備していくという。最後に清水氏は「中小の小売事業者である当社にとって、コスト削減が一番の関心事であることは変わりありません。日立システムズには通信コストの削減も含めて、費用対効果が分かりやすく得られるシステムを期待しています」と語った。

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