「2020問題」を契機にスマクラを導入 目指すは、85%のEDI化!

2016.5.10

株式会社アマノ
専務取締役

天野 良喜 氏

天野 良喜 氏

記事概要イメージ画像

 秋田県下に、店舗面積3,000坪を超えるスーパーセンター3店舗を構える株式会社アマノ。約15万の商品を揃える大型の小売店だが、受発注のやりとりは、VAN会社を介してEOS、FAX、電話の3種類で行っており、大量の出荷伝票を処理する作業に追われていた。
 そこで、NTT東西のINSネットディジタル通信モードのサービス停止が予定されている「2020年問題」を契機に流通BMSに移行し、2015年10月からEDIへの切り替えを開始している。計画通りに進めば2018年までに85%がEDI化され、業務の効率化やコスト削減が進む見込みだ。そこで導入プロジェクトについて、同社専務取締役の天野良喜氏に聞いた。

伝票入力の山で、ミスも多発。大量の訂正伝票が発生

 株式会社アマノは町の金物店からスタートし、84年に店舗面積約150坪の「ホームプラザアマノ」に転換して設立された。その後、店舗を300坪に拡大し、97年にスーパーセンターに業態を転換している。その後も拡大を続け、現在、秋田県男鹿市、南秋田郡井川町、秋田市御所野で運営している3つの店舗は、いずれもワンフロアが3,000坪超の大型スーパーセンターだ。店舗では、生鮮食品から一般食品、衣料品、家具、雑貨など、日常生活に必要なものをワンストップで揃え、地域の生活を支えている。天野氏は「商品は専門性が高いものではなく、地域のお客様のニーズ、ウオンツに沿うベーシックなアイテムに絞りこみ、多品種・多品目の圧倒的な品揃えと、安さを打ち出しています」と説明する。

 

 店舗作りもユニークだ。全店舗がバリアフリーで、通路幅を広く取るなど、高齢者、障害のある方、お子様連れのお客様がゆっくり買い物できるよう配慮している。特筆すべきは、商圏内の高齢化率が高い井川店と男鹿店に設けられた高齢者サロン「ふれあい茶の間」だ。ここは60歳以上で会員になった方なら誰でも自由に利用ができ、無料でお茶やコーヒーを飲むことができる。

「地域のコミュニティの場として作りました。会員数は500名ほどで、ひんぱんに来店される方も多く、ここでお友達になった方もいらっしゃいます」(天野氏)

 

 「ワンフロア・オールインワン・ディスカウントショッピング」をコンセプトに、15万SKUの商品を揃えるアマノの取引先は、約500社にのぼる。従来の発注はVAN会社を介して発注データを取引先に配信し、ターンアラウンド伝票を使って運用するEOSのほか、FAX、電話、時には営業担当の口頭による伝達もあり、業務は煩雑を極めていた。取引先から受け取った出荷伝票のデータ入力は、各店舗で事務スタッフが2~3人が行っていたものの、伝票が机の上に山積みになっており、スタッフは1日中、入力作業に追われている状態だったという。

 

 さらに、問屋側の欠品によって発注数と納品数に差異があったり、納品伝票の記載間違いがあったりで、店舗では修正したものを手打ちしなければならなかった。「この訂正伝票が大量に発生する要因は、品揃えが多いゆえに、納品する商品を取引先が在庫しなければならないという事情もありますが、欠品はアマノにとって致命的な問題になりかねません」と天野氏は言う。

 

 

 

電話回線が廃止になる「2020年問題」への危機感も

 流通BMSを検討する背景には、さらにもう一つ大きな問題があった。それは、EOSで使用していたVAN会社に発注データを流しても、そこでデータが止まってしまい、問屋に届かないことがひんぱんにあったからだ。「システム側のトラブルが主な原因ですが、私どもにとっては問屋からの問い合わせを受けてからようやくデータが届いていないことを知ることがありました。そのため、取引先には多大なご迷惑をおかけしており、大きな不安を抱えていました」と天野氏は振り返る。

 

 さらに、大手の問屋からEDI化の要請があったことも流通BMSに切り替えることを後押しした。取引先の問屋からは、EDI化を図って業務改善を実現している量販店やスーパーマーケットの事例を紹介され、従来のJCA、FAXだけでなく、流通BMSやWeb-EDIなども選択できるようにして欲しいという声が強まっていたという。

 

 もう1つは環境要因として、NTT東西のINSネットディジタル通信モードのサービス停止が予定されている 「2020年問題」もあった。同社のシステム担当者はこの問題を把握していたものの、経営層の天野氏のところまでは情報が届いておらず、15年の半ばに初めて「2020年問題」を知る状況だったという。「これを機によくよく調べてみると、電話回線の問題だけでなく、16年には、JCA手順に必要なモデムなどの専用機器の生産や保守が中止になることがわかりました。さらに17年には、複数税率の導入が予定されていますが、現状のJCA手順のままでは対応できません。JCA手順を使い続けるリスクを回避するなら、流通BMSへの切り替えは必須だと感じました」と天野氏は語る。時期を同じくして、基幹システムの保守期間の終了が迫っていることもきっかけとなり、従来のEOS、FAX、電話の3手段から、流通BMSに切り替えることを決断した。

 

 

サービス型の「スマクラ」の採用で、手間を要することなく導入が完了

 アマノでは、流通BMSへの切り替えに際し、クラウドサービスであるSCSKのスマクラ(流通BMS、Web-EDI、JCA)を採用した。スマクラを選定した理由は、流通4団体推奨サービスであることと、長年の実績で必要な機能をほぼ揃えていること、東北地方のスーパーで採用実績が多いことなどを挙げている。特に、大手ベンダーの手が届きにくい地域において、SCSKの営業範囲の広さは心強いものだったという。

 

 切り替えに際しては、アマノ側が統括・業務責任者の天野氏を筆頭に、システム担当者と契約担当者の3名体制で臨み、SCSKからは3名のスタッフがサポート。さらに基幹システム会社の寺岡システム秋田支店と、寺岡精工の担当者を加えた陣容で、スムーズに切り替えが進められた。

 

「手間もコストも、思った以上にかかりませんでした。初期費用は、自社でシステムを構築する場合の数十分の1程度で済み、当社の規模のスーパーセンターでも大きな負担にはなっていません」(天野氏)

 

 

 約500社の取引先に対しては、まずEOSでの受発注を行っていた企業に対して、流通BMSへの切り替えを依頼した。当初は一気にEDI化したかったが、それまでのVAN会社とEOS契約をしていた企業は、契約が5年縛りとなっており、途中で解約すると違約金が発生することがわかった。そこで、契約が切れたタイミングでの切り替えを依頼し、15年3月から受け付けを開始した。早い取引先とは9月からテストを実施して、15年10月から運用を始めている。その後も順次切り替えを進め、16年1月の段階では26社まで進んでいる。

 

 一方、それまでFAXで取引していた企業については、約300社の中から伝票枚数の多い企業や、規模の大きい企業など約100社をピックアップ。15年8月に説明会を開催して流通BMSへの切り替えを依頼した。「EDIをご存じない小さな規模の取引先もいらしたと思いますが、SCSKさんにわかりやすく説明していただきました。その結果、約3割の企業様が快諾して下さいました」と天野氏は語る。

FAXから流通BMSへの切り替えは、16年の年明けから開始し、2月末までに30数社のEDI化が完了した。16年2月末現在、アマノにおけるEDI化は、EOSからとFAXからの2つを合わせて計62社となり、全取引量の約20%に達している。