【SCSK】与野フードセンター 『生鮮物流改革』に流通BMSを活用した取り組み 伝票入力やリスト仕分けなど紙の業務をすべて廃止   Page2

2015.7.01

与野フードセンター
代表取締役社長

井原 實 氏

井原 實 氏

商品部 物流担当 主任

宗行 利雄 氏

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 埼玉県さいたま市を中心に18店舗を展開する与野フードセンターは、JCA手順で取引先とデータ交換を行う典型的なスーパーマーケットだったが、新生鮮センターの稼働に合わせてスマクラを用いて流通BMSを導入し、物流改革を行った。
 その結果、伝票レスによる経費削減、センター業務の時間短縮、管理精度の向上による誤配率の削減など、さまざまな効果を得ることに成功している。流通BMSを用いた物流業務改善の取り組みについて、同社代表取締役社長の井原實氏と、商品部 物流担当 主任の宗行利雄氏に聞いた。

 

物流業務の標準化と効率化で誤配率0.02%以下を実現

 流通BMSの導入に合わせて行った物流改革により、同社は伝票レスによる紙の削減、通信の高速化による時間短縮、精度向上などさまざまな効果を得たが、「本当の効果は業務の効率化と物流の変革、それによってもたらされるコスト削減にある」と宗行氏は語る。

 

 オフラインの時代や伝票で納品データを受け取っていた時代は、生鮮センターでリストや伝票を見ながら店別のラベルシールを貼ったりする作業も発生していた。さらに追加発注がある場合は、取引先からとりあえず仮の伝票が送られてきて、データ入力は後回しになることもあった。それが、完全伝票レスの実現により、物流段階で情報とモノはすべて1対1で紐付けされるようになり、その結果、庫内でのリスト仕分けや伝票確認業務が激減。結果としてそれらに付随するミスが少なくなり、誤配率の削減につながっている。

 

 物流の場合、誤配があると、ドライバーが店舗まで取りに行って別の店舗に運び直すため、無駄な配送費用や時間のロスが発生してしまう。ドライバー不足が深刻化している中で、誤配による問い合わせ対応にかかる人件費はもちろん、燃料費の無駄につながるため、誤配は極力避けたい。その中で、流通BMS導入後、生鮮センターから店舗に送った商品に対して、何ケースの誤配があったかを示す誤配率の推移を見ると、導入後1年目こそ変動は大きかったが、安定稼働後は0.02%に設定した目標設定値を常に下回り、ほぼ0.01%前後で推移している(図3)。

「誤配率の推移が追えるようになったことで、共通の数値目標が設定でき、誤配がなぜ発生したのかを社内/委託先ミーティングで話し合う機会が増え、同じ配送ミスが起こらないように対策が検討できるようになりました」(宗行氏)

 

図3

 

 

 すべてのセンター通過商品がデータ化されて計数化が容易となった結果、以前は件数のみのカウントだけだった「生産性指標」や「ケース単価」も誤配率と同様に数値での把握が可能になり、物流KPIによる効率や品質コントロールを行える素地が実現した。

 

 また、流通BMSの導入によって、店舗競争力の強化という新しい効果も期待されている。「魚は鮮度が命ですが、以前はデータ通信に時間がかかったり、データ送受信の仕組みがなかったりしたため、漁業組合や網元などの生産者と直接つながることができませんでした。しかし、通信時間が早くなり、完全伝票レスが実現したことやシステム利用料負担が軽減した事で、生産者段階でのシステム利用率も高まり、また出荷の確定情報をぎりぎりに受け取っても即座に対応が可能になり、直納によって鮮度のいい魚をすぐに店舗の店頭に並べることができるようになります」と宗行氏は述べている。

 

 

システム部以外(物流担当者やバイヤー、経理担当等)の視点で流通BMSを俯瞰することが、更なる効率化を促進させる

 与野フードセンターにおける流通BMSの導入は、13年4月の第1ステップで鮮魚部門と惣菜部門(センター経由)が稼働した。1年後の14年4月には第2ステップとしてグロサリー、青果、精肉、インストアベーカリー部門(センター経由)が稼働し、現在、流通BMS(スマクラ for BMS)が37社、流通BMSに準拠したWeb-EDI(スマクラ for Web)が29社対応済みだ。15年度は第3ステップとして店舗直納商品に対して流通BMSを導入し、下期までに30社程度の対応を予定している(図4)。

 

図4

 

 

 流通BMSの効果を最大化するために、今後は生鮮発注の手前のメッセージや、請求・支払のメッセージの活用も検討する方針だ。流通の現場では、温度管理が複雑な商品もあるが、商品に詳しくない人では対応が難しい場合もある。流通BMSの配送温度区分のような項目が活用できれば、センター入庫時に常温、冷蔵、冷凍といった情報がラベルに表示されるため、専門知識がない人でも作業ができ、物流品質の向上も期待できるという。将来的には、流通BMSで用意している商品情報データベースや商品画像を利用して行くことにより、トレサビリティーの強化や、センターマスタ管理の低減、商品販促への活用等が更に進むものと期待を寄せている。

 

 物流面でのさらなる貢献にも期待を寄せている。生鮮の場合はケースの大きさによって積載にも影響を及ぼすが、発注や出荷情報にケースの容積データなどが記録されるようになれば、工業製品と同様に、積載量に応じて台車やトラックの正確な手配が可能になり、物流環境は改善される可能性が高い。宗行氏は流通BMSと物流について「物流現場では依然として標準化が進んでおらず、流通BMSのメリットを享受できていない事業者さんも多くいらっしゃるので、小売事業者だけでなく、物流ベンダー段階での標準化も合わせて進むことが、結果として流通全体の効率化につながっていくと思います」と話す。

 

 商品力で大手スーパーとの差別化を図るために流通BMSを導入し、着実に成果を挙げている与野フードセンター。最後に井原社長は流通BMSの意義について「20年前は数千万円、1億円の投資が必要だったシステム導入が、今はわずかな投資で短時間に実現できるようになり、導入のリスクもなくなっています。投資コストが下がっている今、大手スーパーと比べてフットワークよく動ける中堅、中小のスーパーこそ早期に流通BMSに切り替えて、導入メリットを最大化していくべきではないでしょうか」と呼びかけた。