【SCSK】与野フードセンター 『生鮮物流改革』に流通BMSを活用した取り組み 伝票入力やリスト仕分けなど紙の業務をすべて廃止  

2015.7.01

与野フードセンター
代表取締役社長

井原 實 氏

井原 實 氏

商品部 物流担当 主任

宗行 利雄 氏

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 埼玉県さいたま市を中心に18店舗を展開する与野フードセンターは、JCA手順で取引先とデータ交換を行う典型的なスーパーマーケットだったが、新生鮮センターの稼働に合わせてスマクラを用いて流通BMSを導入し、物流改革を行った。
 その結果、伝票レスによる経費削減、センター業務の時間短縮、管理精度の向上による誤配率の削減など、さまざまな効果を得ることに成功している。流通BMSを用いた物流業務改善の取り組みについて、同社代表取締役社長の井原實氏と、商品部 物流担当 主任の宗行利雄氏に聞いた。

地場スーパーの特色を生かすため、EDIの運用をスマクラに委託

 1960年に与野市(現さいたま市)で創業した与野フードセンター。現在は、大型の食品スーパー、ディスカウント型の大型スーパー、生鮮中心の小型スーパーの3業態、18店舗を展開している。売上高は約180億円、従業員は約1,350人で、「よい物を安価に」をモットーに成長を続けている。

 

 同社は全国の中小スーパーマーケット55社で構成されるボランタリーチェーン「セルコグループ」に属し、経営や流通に関する調査、研究、商品の共同仕入、共同開発を行ってきた。井原社長は「セルコグループの加盟企業は売上高100億円規模のスーパーがほとんどです。その中で、地場の商品を売る特色のあるスーパーとして、商品の陳列方法や独自の品揃え、売れ筋商品などについて加盟企業と情報交換をしながらノウハウを共有しています」と説明する。

 

 EDIについてもセルコグループで情報交換をし、ITベンダーを呼んで共同で勉強会を開くなどしてきた。その中で与野フードセンターは、13年4月に新生鮮センターを立ち上げる機会があり、そこに合わせて流通BMSの導入を決断。いくつかのサービスを比較した中からクラウド型の「スマクラ」を採用した。

 

 井原氏は「クラウド型ならシステムの構築コストやメンテナンスのコストが不要で、災害対策も万全にできるメリットがあります。中でもスマクラはサービスの拡張性やアベイラビリティ(可用性)が高く、長期間の正常動作が保証されていることが採用の決め手になりました。システム面の運用をSCSKにすべて任せることで、私たちは自社の要員を商品力やMDの強化に専念させることが可能になります」と語る。

 

 

 

物流のあり方を見直し、コスト改善を図ることが流通BMS導入の目的

 同社が流通BMSの導入で目指したのは、新生鮮センターによる「物流改革」だった。新生鮮センターを立ち上げた2013年当時、消費者の魚離れにより、鮮魚部門の収益がなかなか上がらないという課題を抱えていた。そこで、改めて鮮魚の物流のあり方に正面から向き合うことにしたという。

 

 それまでの生鮮センターは、生鮮卸業者様に完全委託しており、自社で物流費コントロールが上手くできないという課題を抱えていた。そこで、新しいセンターは物流事業者様に業務委託し、システムやオペレーション面にも直接的にかかわれる体制を構築した。その際、将来JCA手順が廃止されることを見据えて、流通BMSの導入が決まった。宗行氏は「流通BMSを軸としたEDIの変更と、物流のあり方そのものを見直す業務改善の2つの方向から、コスト改善を図ることにしました」と説明する。

 

 ただし、新生鮮センターは、スルーセンター(トランスファーセンター)を前提としたセンターであり、店舗での加工業務が発生する形態。開店時に店頭に商品を並べるためには、店舗すべてに開店の1時間前までに魚を届けなければならないが、配送形態は従来と変えずに切り替える必要があった。その際、流通BMSを導入し、EDIを見直したことが結果的に物流の効率化に結びついたと宗行氏はいう。

 

 同社では、スマクラを導入する以前からEOS化が進んでおり、取引先の鮮魚の卸売業者や仲卸業者へのオンライン発注は実現していた。しかし、鮮魚の場合、しけなどで漁船が出港できなかったり、天候などで予定していた数量の魚が確保できなかったりする場合があり、発注した商品が手に入らないことも多い。その際の発注に対する欠品報告書や修正報告書は、取引先からFAXで生鮮センターに送られてくるが、生鮮センター側では入力専任のキーパンチャーがパンチング作業を行って欠品・差異修正データ(出荷確定データ)を作成していた。また、物品受領書を取引先別に仕分けして送り返さなければならないなど、煩雑な手間も発生していた(図1)。

 

図1

 

 それが流通BMSを導入した後は、取引先から送られてくる出荷データと、センター納品された商品とで差異が発生している時のみ、パンチング作業で修正を行うだけでよくなった。「その結果、倉庫の作業員が仕分け作業をしながら適宜入力するだけでよくなり、入力専任のキーパンチャーを置く必要がなくなりました」と宗行氏はその効果を語る。「また、取引先に返していた物品受領書は、差異がある時のみ修正リストを送るだけでよくなりました。さらに、BMS導入後は出荷データとして入庫予定情報が入庫前に確実に取得できるようになっている為、またリストや伝票での入庫作業は皆無になり、入庫作業時間も短縮されます。このような改善が各物流拠点で進むと、トラックの滞留時間が短縮され、物流業界全体に大きな効果をもたらすのでは」と話す(図2)。

 

図2

 

 

 取引先へのオフライン発注についても、流通BMS導入以前は紙のFAXで出荷伝票を受け取っていたため、センターではリスト仕分けや配送・計上の伝票処理作業が発生し、精度と効率の低下が悩みだった。そこで、取引先に協力を要請して事前出荷案内をデータで受け取る「出荷開始型モデル」を採用。これによって差異発生時以外、伝票作業やリスト仕分けがなくなり、「完全伝票レス」を実現している。

 

「鮮魚の場合、発注と異なる商品やせり残商品も多く、出荷開始型モデルは外せないとの理由から、社内での議論を重ねて、14年秋のチェンジリクエストが出る前から取り組んできました。当初、出荷データの作成を取引先が対応してくれるか不安でしたが、取引先は大手を中心に流通BMSが普及し始めていることを認識されていて、今後は当社以外の小売事業者からも対応をお願いされるのであれば、早めに対応しておくほうがよいと判断いただけたようです。システム費用についてもスマクラ for Webならコスト負担が少なく済むというお話しを粘り強くして理解を求めました」(宗行氏)