【髙島屋】 基幹システム更改のタイミングで流通BMS導入  全店舗の在庫情報、リアルタイムに把握

2013.6.20

髙島屋
IT推進室
室長

津田 芳雄 氏

津田 芳雄 氏

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 日本を代表する老舗百貨店の髙島屋は、経済産業省が主導する流通BMSの共同実証に2006年から参画。09年3月に「流通BMS百貨店Ver1.0」がリリースされたのを機に、流通BMSによるデータ交換を開始した。以後、流通BMS取引を順次拡大し13年6月現在で300社以上の取引先とデータ交換を行っている。
 導入の結果、在庫がほぼリアルタイムに把握できるようになり、販売機会ロスの回避などを実現した。流通BMS導入済みの公開企業数が8社(13年6月現在)と、対応がなかなか進まない百貨店業界で、同社が先行できた背景には、基幹システムの再構築というチャンスがあった。

金額ベースで約80%の取引先が対応

 老舗百貨店ならではの良質なサービスを継承しながら、時代にマッチした新しい価値を提供し続ける髙島屋。現在、国内に20店舗を展開するほか、シンガポール、台湾、中国にも進出し、収益力の向上に努めている。

 

 同社が流通BMSに取り組んだのは、経産省による流通システム標準化事業が始まった06年までさかのぼる。日本百貨店協会の一員として06年度からの3年間で、アパレルと婦人靴を中心に26種類の流通BMSメッセージの策定に関わり、環境の整備に協力してきた。そして09年に始まった共同実証には、小田急百貨店、丸井の2社と共に参加。09年3月に「流通BMS百貨店Ver1.0」がリリースされたのを機に、流通BMSによるデータ交換を開始する。その後も共同実証および標準メッセージの検討を継続し、現在はアパレル、婦人靴、食品ギフトに関する27種類のメッセージを標準化した「流通BMS百貨店Ver2.1」に基づいてデータ交換を行っている。

 

 「全体のお取引先様約4000社のうち、買取仕入れのお取引様が約2000社ある中で、流通BMSに対応しているお取引先様は約300社です。お取引先様のほとんどは大手の卸売業者やメーカーで、金額ベースに換算すると買取仕入れ額の約80%に達します」と津田氏は説明する。

 

 流通BMSに取り組む直接のきっかけとなったのが、同社基幹システムの再構築だった。フロント系のPOSシステムやオンラインショッピングシステムを時代の変化に柔軟に対応できるよう最新のシステムに刷新したうえで、約30年来、メーンフレームで運用していたバックエンド系の会計システムや利益計算システムをオープン系システムに移行するタイミングと歩を合わせ、商品コード体系の再構築と仕入れの電子化に踏み切る。

 

 「システム再構築の流れの中で、流通BMS百貨店Ver1.0がリリースされたことから、百貨店業界で唯一の標準仕様、流通BMSにかじを切ることにしました」(津田氏)

 

 流通BMSに切り替えるに当たり、取引先に対して説明会を実施。09年と10年の2年間で約1300社に理解を求める。しかし、説明会では「本当に業界の標準になるのか?」と不安視する声が聞かれたことから、導入に意欲的な取引先を中心に個別訪問をしていく。

 

 「09年当時は流通BMSを認知しているお取引先様が少なかったことから、『経産省がお墨付きを与えた百貨店業界で唯一の標準仕様だから安心です』と詳しく説明しました。また、お取引先様から情報を提供していただくことで、当社からも売上データが即座にお返しできるとメリットを訴えました。お取引先様訪問は、商品を仕入れるバイヤーでなく、法人営業の担当者やIT推進室のスタッフが担当し、無言のプレッシャーを与えない工夫もしています」と津田氏は苦労の一端を明かす。