【モンテール】 EDIシステムの刷新で流通BMSへの対応 システムの安定稼働を実現し、運用管理負荷を軽減

2010.8.01

株式会社モンテール
常務取締役

鈴木智也 氏

鈴木智也 氏

総務部 情報システム課

奥谷淳史 氏

株式会社モンテールバリュー
管理グループ IT戦略チーム リーダー

大山英治 氏

記事概要イメージ画像

 スーパーやコンビニエンスストアなどのセルフ市場をいち早く開拓し、チルドデザート(洋生菓子)分野のリーディングカンパニーの地位を確立するモンテール。同社は、EOS、EDIによる送受信回数の増加や、Web-EDIなどへの対応の必要性からEOS、EDIシステムの刷新を進めた。同時に流通BMSへの対応を実施し、2009年より流通BMSの本稼動を開始。これにより、運用コストと手間を削減すると共に、システムの信頼性を高め、安定稼動を実現しているという。

 新システム導入の経緯、製品選定のポイント、導入効果について同社の常務取締役 鈴木智也 氏と情報システム課の奥谷淳史氏、同社のグループ会社で、ブランディング・人材・ITをサポートしているモンテールバリューのIT戦略チーム リーダーの大山英治 氏に聞いた。

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新市場開拓とシステム投資でチルドデザート分野のリーディングカンパニーに躍進

 1954年に創業し、洋生菓子の製造・販売を主力とする株式会社モンテール。同社は、1975年に現社名に変更し、本格的に洋菓子路線へと転換。さらに1991年以降はシュークリームやプリンなどのチルドデザート(洋生菓子)市場に参入した。

 

 常務取締役 鈴木智也氏は、「当時、洋生菓子は専門店が扱うか、大手フランチャイズが多店舗展開をしていたため、新たな参入の余地はほとんどありませんでした。そこで、どこかにマーケットがないか探したところ、見出したのがスーパーやコンビニエンスストアなどのセルフ市場だったのです。当時のイタリアンドルチェブームなども追い風でしたね」と振り返る。その流通ルートを新たに開拓した同社は、当時の20億円強の売り上げから237億円(2009年8月)と、現在に至るまで売り上げを大幅に拡大。チルドデザート分野におけるリーディングカンパニーの地位を確立している。

 

 同社の製品へのこだわりは徹底している。「おいしさの実現、お客様に感動していただける商品を生み出すために、理想とする素材や製造システムの追求を常に進めてきました」と鈴木氏。これらは、洋生菓子メーカーでありながら牛乳プラントを併設した産地直結型の工場建設、NASAが宇宙食を作る際の品質管理基準「HACCAP」の導入といった取り組みからも見てとれる。

 

 モンテールでは、店舗への商品到着から消費期限3日間というチルドデザートの性質上、需給予測が重要なカギとなる。モンテールの生産拠点は、茨城(つくば工場)、岐阜(美濃加茂工場)の2ヵ所だが、徹底した衛生管理のもと商品を全国各地に提供するために、自社で培った製造ノウハウを外部工場に提供し委託生産を行うという、メーカーフランチャイズ制度(MFC)も導入した。これにより、同社では小売りなどからの受注分を当日に製造して出荷、取引先の配送センターに納品するという365日Just In Time (JIT) での商品供給体制を全国レベルで整備、欠品や過剰生産を抑えて、利益を高める仕組みを構築しているのだ。

 

取引量の増加と流通BMS対応のため、EOS、EDIシステムを刷新

 こうした商品供給体制の確立に貢献し、発展を支えてきたのが、同社の積極的なシステム投資への取り組みである。モンテールは2006年には経済産業省より「IT経営百選 最優秀賞」を受賞するなど、システム投資への先進的な取り組みは外部からも高く評価されている。

 

 同社では、2002年にEDIの機能強化を目的に基幹システムの全面的な切り替えを実施したが、2006年頃になると業務の拡大に伴って通信トランザクションが大幅に増加するようになってきた。

 

大山英治 氏 「EOS、EDIによる送受信回数が以前の一日30回程度から100回程度へと増加するなど、通信環境と基幹システムへの負荷の増大が目立つようになってきました。また、JCAなどの従来型のEDIに加えて、Web-EDIへの対応など、取引先ごとにさまざまなフォーマットやファイル形式のデータが発生。これにより運用が煩雑化してミスが発生するなど、個別対応のための開発が大きな負担となってきたのです。そこで、2007年になってEDIシステムの刷新を進めることになりました」とモンテールバリューの大山英治 氏は解説する。

 

 新EDIシステムの構築に当たっては、当初4製品を候補として製品選定を進め、最終的に2製品をテストして詳細に比較した結果、データ・アプリケーションの「ACMS B2B」を選定した。この経緯について、大山氏は「最終テストの中で特に評価したのは、信頼性とユーザーの操作性です。そして将来の標準として普及が見込まれる流通BMSへの対応も同時に進めました」と語り、次のように評価する。

 

 「EDIシステムは基幹システムと連携しています。しかも、チルドデザートという商品をJITで供給しているため、安定した継続稼動が必須です。その点、ACMSは冗長性機能によって、万一のシステムダウンにも二重化された一方のシステムが即座に処理を引き継ぐため、非常に高い信頼性を持ちます。また、いくら優れた機能も使い勝手が悪いとユーザーの操作ミスに繋がることがありますが、この点でも業務プロセスの自動化で作業効率を大幅にアップしたり、入力ミスといった人的ミスの低減などに貢献してくれます」

 

エラーの消滅で貴重な人材を有効活用 コストメリットと共に残業が減少

奥谷淳史 氏 モンテールでは、2009年に基幹システムの全面的な切り替えを実施すると共に、流通BMSの本稼動を開始している。現状、流通BMSに対応している取引先は4社程度であるものの、大手が中心であるため取引量ではそれなりの規模になるという。流通BMS導入の効果について、総務部 情報システム課の奥谷淳史 氏は「まずはインターネット回線による通信速度のアップですが、それ以上に大きな点は通信エラーがなくなったことです」として、次のように語る。

 

 「JITでの商品供給体制を維持するには、ごく短時間でエラー原因を究明しなければなりません。そのため、以前は豊富な経験とノウハウを持つベテラン技術者がサポートを担当していました。しかし、新システムに移行してからはエラーも皆無となり、貴重な人材を本来のシステム開発といった、より生産性の高い業務に専念させることができるようになりました。これはコストメリットとしても大きなものです。情報システム部門や物流部門におけるEDI対応要員は以前から増えていないということが、効率よく運用できているということを表しています」

 

 同社では、業界全体としての流通BMS対応が進むことを期待する一方、レガシー手順は今後も当面はなくなるものではないという。そのため流通BMS対応を検討する企業へのアドバイスとして、流通BMSの普及に向けた過渡期にある現在は、両者の融合をいかにうまく行っていくかが、業務効率化の大きなポイントになると語る。

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