【ヤスサキ】システム老朽化を機に約200社の取引先を流通BMSに移行  2カ月の短期導入で軽減税率対策補助金を獲得

2017.7.26

株式会社ヤスサキ
管理部 マネージャー
財務・経理・人事・システム担当

木間 学 氏

木間 学 氏

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 北陸を商圏とする総合スーパーの株式会社ヤスサキは、導入から13年が経過した旧EDIシステムの老朽化を機に、流通BMSの導入を検討。消費税軽減税率制度に合わせて始まった軽減税率対策補助金を利用して、取引先約200社を円滑に流通BMSに移行した。取引先の経営規模、取引量、発注頻度に合わせて、3つの流通BMS対応パターンを用意することでスムーズな移行を実現し、2カ月の短期間で導入を終えた。導入の結果、効率的な店舗運営と、取引先との正確な情報共有が実現している。

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システムの老朽化と軽減税率対応を機にEDI刷新を決断

 福井県と石川県で食品スーパー「グルメ館」を11店舗、ホームセンター「ワイホーム」を5店舗、衣料品店「ファッションプラザヤスサキ」を10店舗、その他ファッション・雑貨専門店、ダイソー100円ショップ、ツタヤなどを運営するヤスサキ。北陸エリアの総合流通事業者である同社は、衣・食・住すべてをカバーする商品提供をモットーに、豊富な品揃えで地域一番店の地位を確立している。

 

 同社は、独自のデータフォーマットによるEDIシステムを13年間にわたって利用してきたが、取引先に提供している受注システムも含めて老朽化が顕著になっていた。さらに、2019年10月1日実施が予定されている消費税軽減税率に対応する必要にも迫られ、EDIを刷新することにした。

 

 EDIシステムの刷新では、現行システムを利用している約200社の取引先の負担を軽減し、受注システムの切り替えをスムーズかつ短期間に実施することを重視。さらに導入後も安心して運用できるシステムを構築することを考慮した結果、標準EDIとして全国に普及が進んでいる流通BMSを採用し、独自の運用を削減することにした。

 

 加えて同社は、2016年に制定した中期経営計画において、今後5カ年で新たに20店舗をオープンし、売上高を230億円から300億円まで拡大する目標を立てていたため、受発注業務の整備と効率化は必要不可欠だった。

 

 さらに、流通BMSの導入を検討した2016年の春当時は、2019年10月1日に実施が予定されている消費税軽減税率の対応に向けて、受発注システム改修にかかる費用に補助金が出ることが政府からアナウンスされ、その締め切りが2017年3月末であったことから、申請のためにも短期間で移行を完了させる必要があった。

 

 

取引先の規模、取引量、発注頻度に合わせて3つの導入パターンを用意

 今回、流通BMSに移行する取引先は、大手メーカー・卸売事業者から、家族経営の小規模店まで多種多様で、中でも地場の小規模メーカーが圧倒的に多いことから、切り替えには取引先の経営規模に合わせる必要があった。さらに小売業界の人手不足は同社でも例外ではないため、店舗業務をより少ないスタッフで回す必要がある。日ごろから「従業員満足なくして顧客満足なし」を口にしている経営トップからも「店舗オペレーションを煩雑にしないように」と厳命されていたという。

 

 そこで同社は取引先の経営規模、取引量、発注頻度に合わせて、以下に示す3つの導入パターンを用意した。

 

①自社構築プラン 対象:65社

流通BMSをすでに導入済みの大手や中堅クラスの取引先には、ヤスサキとの取引に対応したソフトウェアを自社で調達、構築してもらうことにした。

 

②レンタルプラン 対象:48社

取引量が多く自社システムとのデータ連携は必要だが、ソフトウェアの自社構築は困難な大規模から中規模の取引先には、月額料金で利用できる流通BMS対応のシステムをレンタルで提供した。

 

③Web-EDIプラン 対象:44社

自社システムとの連携は必要なく、取引量も比較的少ないが、ヤスサキとのデータ交換をEDIで継続したい取引先には、流通BMS対応のWeb-EDIを用意した。Web-EDIならヤスサキとの取引に最適化されたシンプルな形で提供ができ、システムの専任担当者がいなくてもインターネット環境とWebブラウザさえあれば迅速に流通BMSに切り替えができる。

 

 このように、取引先の窓口は多様だが、店舗側では従来どおり商品バーコードを読みとって数量を入力し、発注を確定するだけでよい。あとはシステム側で取引先に応じた形で変換して必要なデータをやり取りしてくれるため、運用時の負担はほとんどかからない。ヤスサキ 管理部 マネージャーの木間氏は「3つのパターンで提供することで、企業規模が異なる取引先にも対応でき、コスト負担も低く抑えられると考えました。店舗側の発注オペレーションも、どのプランでも影響を受けることがないため、これが最善の選択だと考えています」と語っている。

 

また、取引先の費用負担を軽減する観点では、システム利用料の大半をヤスサキが補助することとした。さらに、システムの切り替えに関しては、説明会の開催や電話やメールで綿密にやりとりしながら、取引先を全面的にフォローしている。

 

 

 

2カ月かけずに新システムを構築し、速やかに安定運用に移行

 導入作業は、補助金の締め切りが翌月に迫った2017年2月からの着手となったが、完全移行までにそれほど時間はかからなかった。1社あたり、自社構築プランを選択した取引先は、接続テストを含めて約1週間で終了。レンタルプランを選択した取引先は、インストールから操作説明まで含めて1日、Web-EDIプランにいたっては、事前に集合操作説明会を実施しただけで導入が終わっている。その結果、流通BMSの対象とした約200社の取引先は2017年3月末までに本番稼働に踏み切ることができた。

 

 導入の成功要因は取引先の希望を考慮しながら、ヤスサキの商品部とシステム部が連携して導入パターンを事前に調整することができたことにある。切り替えの前後に多少の混乱があったものの5月に入ると収束して安定運用に移行した。取引先との良好な関係と、全社が協力的だったことが成功につながったと言える。

 

 

データの送受信がEDI上で完結し、正確な情報共有が実現

 流通BMSの導入で、出荷データの受け取り、検品、受領データの返信までがEDI上で完結することとなった。その結果、取引先が迅速に出荷データと照合できるようになり、同社と取引先との間で正確な情報共有が実現している。

 

 また、多くの取引先がシステムのレンタルプランまたはWeb-EDIプランを選択したことで、予期していない運用がおこなわれたり、データが発生したりすることもなかった。自社構築プランを選択した取引先とのデータ交換においても、システムに装備した整合性チェック、エラー通知、データ交換の履歴参照などの機能を適用することで安定したデータ交換が実現し、ヤスサキの店舗でも本来の業務に専念できる体制が整った。「何より、予定した本稼働が計画どおりに果たせたことで軽減税率対策補助金が活用でき、システム導入費を削減することができたことは大きかった」と木間氏は述べている。

 

 取引先に配慮しながら店舗オペレーションを効率化し、軽減税率にも対応したヤスサキは、EDIに対応していない取引先に対しても流通BMSへの移行を呼びかけ、さらなる業務の効率化と情報共有を進めていく考えだ。

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